【252】好きな人の痛み

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「…まぁ、正直俺も男だから…
 別に好きじゃない女とでもヤれるよ?」


そういえば臣くんは
そんなこと言ってたっけ……


岩ちゃんたちの話や
さっきJさんに言われたことを
考えてると

ふと頭によぎった。


♡)……


「そんなの臣さんにしたら
 何の意味もないことなんだよ?」

「好きでもない女とのSEXなんて
 何の意味もないんだよ。」

「何の執着も愛情もないんだよ。
 気持ちなんてこれっぽっちもない。」

「男はね?
 心と身体なんて別なんだよ。」


そんなこといくら言われたって
理解できない。

でも……


「どうでもいい女に
 大事に触れたりなんかしない。」

「相手への愛しさや思いやりとか…
 そういう感情が
 あるのとないのとじゃ全然違う。」

「登坂くんは…姫に…
 そうやって接してなかった…?」


♡)……


私に触れる臣くんは
いつでも優しくて…

思い返せばその記憶はいつだって
愛で溢れてた。


臣くんがそばにいてくれて
笑ってくれるから

笑顔になれる。
幸せって思える。


耳を塞ぎたくなる事実があったって

臣くんと積み重ねてきた
幸せな毎日が確かに存在するのも
また事実で……




K)♡……
  今日良かったら飲みに行かない?
♡)…っ
K)二人で。
♡)……
K)気分じゃなかったら
  また今度でいいけど…
♡)……行く。
K)そ?わかった。
  じゃあ店探しとくね。
♡)ありがとう。


Jさんとのランチから帰ってきて
いっぱい泣いちゃったから
トイレでお化粧直ししてると

Kちゃんに飲みに誘われた。


本当は昨日Kちゃんと
ランチに行こうとしてたけど
隆二くんが突然来て…

Kちゃんとは何も話せなかった。
夜も撮影が入ってたし……


もう…自分だけじゃ抱えきれなくて
聞いてほしい話もいっぱいあって…

気持ちの整理を
一人でする自信もなくて…


♡)……


もう…逃げたくない…
気持ちに蓋をしたりも…しない。

ちゃんと…向き合うから…



ーーー



K)あいっ、お疲れ〜!乾杯っ!!
♡)乾杯♡


Kちゃんが見つけてくれたのは
ロシア料理のお店で

店内もすごく可愛くて
私たちは一番奥の個室に通された。

乾杯って言ったけど
二人ともノンアルコールの
モルスっていうジュース。


♡)すっごくベリーの味がするね!
K)あ〜〜まっw
♡)あははは♡
K)逆に喉渇くわい。
♡)でも素敵なお店だねーー♡
K)ポールがこの間来たらしい。
♡)そうなんだ!
K)可愛いからきっと♡が好きだろうって。
  連れて行ってあげなよ〜って。
♡)わぁ…ポールありがとう♡
K)ほら、いっぱい食べよ?
♡)うんっ♡


久しぶりに…
Kちゃんと二人だなぁ。

一緒にいるだけで
なんかほっとして…気持ちが緩んでくる。


K)昨日は隆二にさらわれ…
♡)えっ
K)今日はJさんにさらわれ…
♡)……
K)全然あんたとゆっくり
  話せてないからさーー
♡)……うん。
K)最近撮影ガンガン入れてるね?
♡)あ、昨日で一旦落ち着いたよ。
K)そうなんだ。お疲れさん。
♡)ありがとう…。
  土曜日は…色々とごめんね?
K)何が?
♡)……


わんわん泣いて…
Kちゃんにも…TくんにもJさんにも
心配かけちゃった。


K)撮影ちゃんとやってたじゃん。
♡)……
K)頑張ったね。
♡)……


そう言ってKちゃんが…優しく笑うから…


♡)ふ…ぇ…っ
K)ストップ!!泣くなっ!!
♡)…っ
K)あんたなんだかんだ毎日泣いてるでしょ!
♡)…っ
K)ブスになるよっ!
♡)……


そう言われてみれば…本当だ。
毎日…泣いてる……。


♡)……やだな……
K)何が?
♡)……


泣き虫な…自分。


♡)すぐ…泣いて…弱くて…
K)……
♡)そんな自分…大嫌いだよ。
K)……
♡)……


でも…


K)……
♡)あのね…?
K)うん…
♡)ずっと…考えないように考えないように
  …って…、無理矢理逃げてたの。
K)うん。
♡)…でももう…そんなのやめる。
K)……
♡)ちゃんと…考える。
K)……
♡)でも…


一人じゃまた…
泣いちゃいそうだから…


K)じゃあ一緒に考えよっか。
♡)…っ


また優しくそう言うKちゃんに…


♡)ふ…ぇ…っ
K)こら。
♡)…っ


唇をキュッと結んで
涙を我慢する。


♡)はぁ……っ


気持ちを落ち着かせて
モルスを飲んだ。



最初は…
あの女子会がきっかけだった。

EXILEに現地妻がいるって聞いて

そんなの嘘だって笑い飛ばして欲しかったのに


「聞かない方がいいと思うけどw」


そう言われて…
三代目も同じ事してるってわかって

一気に嫌な気持ちになった。


「付き合う前の話だって。
 もう昔の話なんだからいいじゃん。」


昔の話だって何度も言われて
昔だったら何なの?って思った。


LIVEとかであんなにキラキラしながら
たくさんの人に夢を見せてるみんなが

裏でそんなことしてるなんて
本当に最低って思った。


そして次の日、Mちゃんから
全てを聞いた。


「女の子集めてわいわい。

 両脇に女はべらしてベタベタ触って
 酔っ払ってノリノリだったそうです。

 キャバ嬢とか…
 まぁその場にいる女の子をお持ち帰り。」


もう…頭がついていかなくて…


「モデルとかアナウンサーにも
 手を出してるみたいです。

 結構手当たり次第。」


「とにかく、飲み会があれば大体お持ち帰り。
  
 彼女がいても普通に他の子にも
 手を出してたみたいです。」


そんなの…
全部嘘だって思いたかったのに


「お前と付き合ってからは
 一切してないって!!」

「そんな…過去の話、今、関係ある?」


臣くんは否定しなかった。


臣くんがそんな人だったっていうのが
ただただ悲しくて

それなのに
浮気を疑ってるみたいな言い方をされて
また悲しくて…


付き合う前に…
好きじゃない人にそんなこと
したりしないって私に言ったのは
嘘だったんだって思ったら
また悲しくて…


もう気持ちがぐちゃぐちゃになって
家を飛び出した。


それから二日間家出して
三日目に家に帰ったけど

気持ちはぐちゃぐちゃのままで…


ぎゅって抱きしめられて
臣くんの声に…匂いに…ぬくもりに…

やっぱり大好きって
無条件にそう思ったのに

いろんなものが頭に浮かんで
突き放してしまった。


臣くんはいなくなった私を心配して
必死で探してくれてたのに…


「臣くんみたいなこと
 死んでもしないもんっ!!!」

ひどい言葉をぶつけて


「お前がそんなことするわけないって
 わかってるよ。」

あんなに悲しい顔をさせた。


♡)……
K)…やっぱり…泣いてる。
♡)……ごめん……
K)……
♡)…私…ね?
K)うん。
♡)…臣くんの…過去の話も
  ショックだったし…
K)……
♡)私と付き合う前に…
  酔った勢いで…他の女の人と
  ホテルに行ったって聞いたのも…
  すごくショックだったの。
K)ホテル…?
♡)うん。行ったんだって。
K)…っ
♡)途中で帰ったらしいんだけど…
  そんなの関係なくショックで…
K)……
♡)臣くんが私に告白してくれた時ね?
  初めて会った日からずっと
  好きだったよって言ってくれたの。
K)……
♡)その言葉も…嘘だったんだぁ…って
  臣くん…何個嘘ついてたんだろう…って…


何を信じていいのかわからなくなって


♡)でも臣くんは
  私に言った気持ちは嘘じゃないって…
K)……
♡)もう全然意味がわからなくて…
  ただただ悲しくて…
K)……


涙が止まらなかった。


悲しくて苦しくて
逃げ出したくて…


「もう一緒にいたくない」


あんな言葉を吐き捨てて
家を飛び出した。


♡)……
K)……
♡)本当に悲しくて苦しかったの…
K)……
♡)…でも……


……今でもリアルに思い出す。



「ごめん…っ、♡、…ごめん……」

悲しそうな…臣くんの顔。


「やだっ!!!」

手を振り払った時の…傷ついた顔。



♡)今…思い出して…
  一番……悲しいのは……


また…涙が溢れてくる……


♡)一番…悲しいのは…っ
K)……
♡)…臣くんを…傷つけた…ことっ…
K)…っ
♡)ふっ…ぇっ、うう…っ
K)……
♡)あんなに…悲しい顔を…
  させた…こと…っ
K)……


傷つけて…悲しませて…


「♡……別れたいの…?」


あんなことを…言わせた。



「別れる」って言葉が
胸に突き刺さって…

悲しそうな臣くんの顔を見てると
涙が止まらなくて
気持ちはぐちゃぐちゃで…


「こんな私…見ないで…っ」


そう言って私はまた逃げたんだ。


♡)自分がっ…情け…なくて…っ
  もう…嫌…なのっ……
K)…っ



「自分が泣いたり傷ついたりするよりも
 大事な相手が傷ついた痛みの方が
 ずっと大きいんだと思う。」


隆二くんが言ってた。


「大事な相手を悲しませた自分を…
 泣かせた自分を…
 責めて…余計にまた苦しくなる。」


私が…自分を責めて
こんなに苦しいのと同じように…

臣くんも…苦しんでるのかな……


私を泣かせた…って…
悲しませた…って…

苦しくなってるのかな……


♡)臣くん……ごめん…ね…っ……
K)…っ
♡)ごめんね…っ
K)……
♡)ふぇぇ…っっ


もう…あんな顔…させたくない。

傷つけたくない……



臣くんが好き。

臣くんのところに…帰りたい。



でも…


こんなへなちょこな私が
今のまま帰っても…

また臣くんを傷つけそうで…怖い。


♡)臣くん…っ……ふぇぇっ……
K)……



止まらない涙が
また頬を伝った。




ー続ー

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