【245】俺の太陽

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久しぶりに
自分の部屋で目を覚ます。


とても静かな…日曜日の朝。


♡)……


いつも臣くんと寝てるベッドで
一人で寝る気になんてなれなくて

昨夜は自分の部屋のベッドで休んだ。



顔を洗って…歯を磨いて…

キッチンで朝ごはんを作る。

いつもみたいに食材がないから
質素な朝ごはん。


臣くんは…
家では何も食べてない。

それがわかるキッチン。


洗濯物もそんなにたまってなくて
自分で洗ったのかなとか考えると…
胸が苦しい。


一人で…歯を磨いて…
一人で…シャワーを浴びて

一人で…お風呂に入って…
一人で…あのベッドで眠って…


二人で毎日過ごしてたこの部屋で
臣くんが一人で過ごしてる姿が

ありとあらゆる場所で浮かんでくる。


♡)…っ


この家に一人でいるのは
すごく苦しい。

私は…こんな思いを
毎日臣くんにさせてたんだろうか。


♡)ふ…っ、ううっ…ふぇっ……


出て行った私が泣くなんて
勝手すぎるってわかってる。

でも…


耐えられなくなって部屋に戻って
にゃんこを抱きしめた。


♡)ふぅぅっ、ううっ、っく…


臣くん…ごめんね…


♡)うううっ…ふぇぇっっ


ごめんね。

ごめんね。




私は悲しい気持ちを紛らわせるように
家の中をいっぱい掃除した。

年末の大掃除レベルで
全部…全部…ピカピカにする。


臣くんが…疲れて帰ってきても
気持ち良く過ごせますように…

ピカピカになぁれ……


お掃除が終わったら
スーパーでいっぱい
食材を買い込んできて

お料理もたくさん作った。


日持ちするようなメニューを選んで
小分けに冷蔵庫に詰める。


お仕事中は…
栄養士さんが作ったお弁当とかを
食べてると思うけど

家にいる時にもしお腹が空いたら…

朝とか…お仕事行く前とかに…
少しでも栄養があるものを
食べられるように…

美味しくなぁれ……


そういえば…
まだ付き合う前、

臣くんが熱を出した時も
こうしていっぱいお料理を
作り置きしたっけ…

お弁当も作って…

懐かしいな。


ーーー


一通り家事を終えて
ソファーに身を投げたのは
夜の21時だった。

少しだけ目を閉じる。


昨日の撮影は…
場所が湘南だったから

臣くんとの記念日旅行を
何度も思い出して

胸が苦しくなった。


二人でドライブしたこと

一緒に自転車に乗ったこと

ホットロードの真似をして
写真を撮ったこと

そんな一つ一つを思い出しては
泣きそうになって……


カップルっていう設定で
たくさん写真を撮ったから

臣くんとした撮影も思い出した。


一日中臣くんと一緒で
いっぱいいっぱい
いろんな写真をたくさん撮って

すっごく楽しかったなぁって…

思い出せば出すほど
また泣きそうになって…


必死で堪えて撮影を終わらせた。


Tくんはずっとフォローしてくれて
気付けばいつも隣にいてくれて
私を心配してくれてた…


昨日だけじゃない。

Tくんは毎日…
私の側にいてくれて

そんなあったかい優しさに
甘えてしまってる自分がいる。

Tくんは最近…
臣くんの話をしないし
他愛もない話で私を笑わせてくれたり…

一緒にいるとすごく安心する。


優しく笑ってくれるだけで
すごくホッとするの。


♡)……


私は起き上がって
お風呂にお湯をためた。

今日はゆっくり浸かって
ゆっくり休んで
明日の撮影に備えよう。


そう思っていたのに


寝る直前に
飾ってあったアルバムが目に入って

手を伸ばしたのが間違いだった。


♡)…っ


1ページ1ページに
思い出がたくさん詰まっていて…


♡)ふっ、…うっ、ふぇぇっ……


この時…すごく楽しかったな…

幸せだったな……

涙が勝手に…こぼれてくる。


♡)臣くん……


二人の笑顔が…たくさん詰まってる。

でも…

付き合う前の二人を見ながら

このどこかで
知らない女の子とホテルに行って
そういうことしてたんだなんて考えると…

胸が張り裂けそうになる。


バタン……


途中でアルバムを閉じて
棚に戻した。


そのままにゃんこを抱きしめて
無理矢理ふとんにもぐった。


♡)…っ


今日は…もう疲れちゃった。

ちゃんと考えようって思ってたけど
明日にしよう。

だって…
少しでもラインを超えると
勝手に涙が溢れてくるんだもん。


苦しい。

無理だよ……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


H)みなさん本日もお疲れさまでした。
  今日はゆっくり休んで
  また明日からの仕事に備えてください。
N)お疲れさまでした!!
直)お疲れさまです!!


大館でのリハ二日目。


昨日2週間ぶりに目にした本番のセットは
やっぱりすげぇカッコ良くて
みんな一気にテンションが上がった。

こんなステージで
パフォーマンスできるなんて
本当にすごい。

リハを終えて、
俺は隆二と端から端まで歩いてみた。


隆)一番遠いところだと
  こんな感じかなぁ…
臣)うん。
隆)これくらい離れてても
  届けないとなぁ…
臣)見えない分、なおさらね。
隆)うん。
臣)……
隆)よっし!燃えてきたぁぁぁ!!
臣)ははっ

健)ふぅぅ〜〜〜
  ほんますごいわぁぁ〜〜〜
岩)わくわくしますね♪
E)Hey! What’s up?
岩)I’m good,very good!!
E)Oh! Yeah!!
健)テンションたっか!!w
隆)あはははっw


控え室に戻ってきて
みんなシャワーを浴びたり飯を食ったり…


臣)……


携帯を開いても…


『考えないとか無理に決まってんだろ。
 頼むから帰ってきて。』

『会いたい。』


一昨日送ったきり、返事のないLINE。


そもそも…


『私のことなんて
 もう考えないで下さい。』


これはどういう意味なんだろう…

考えるなって…忘れろってことか?


何度見てもその言葉が
「さよなら」に見えて


臣)はぁ……


苦しくなる。


臣)……


このまま眠って起きて
そしたら全部…夢だったらいいのに。


家に帰ったら♡がいて
いつもみたいに笑顔で迎えてくれるんだ。

「おかえり♡」って飛んできて…
俺にぎゅって抱きついて…


健)臣ー、なんか落ちたでーー

臣)え…

健)うわ、何これっ!!すご!!
隆)え、なになにーー?
健)トリプルロゴ入りのお守り!
岩)うわっ、すっげぇ!!
  三代目と…臣さんと…BPのロゴ?!
健)むっちゃカッコええやん!
岩)いいなーーーっ!♪
隆)……


健ちゃんが拾ってくれたのは
♡が誕生日にくれた手作りのお守り。


隆)これ…もしかして…
臣)……


隆二は前にもらったお守りも見てるから
すぐに察したらしい。


岩)え、なになに?
隆)♡ちゃんの手作り…?
E)え〜!すっげぇ〜〜!!
  俺らにも作ってくんないかな〜〜w
健)図々しいやっちゃなーーw
岩)あはははw
健)ほらっ
臣)ああ、ありがとう。


いつも持ち歩いてるお守り。

これを持ってたら
怪我も何もなく…全部上手くいく気がして…


臣)……


でも…お守りより何より…
本体が側にいてくれる方が
何倍も力になる。


♡……


今頃何してるだろう…

何を……思ってるんだろう……


またテーブルに突っ伏した俺の頭を
健ちゃんが撫で回してきた。


健)暗いで臣ぃ〜〜〜w
  飯食ったんかーー?
臣)……まだ。
健)はよ食って元気出せぇ!
E)あのね、ささみのサラダ
  めっちゃ美味しかったよ!!
臣)……
隆)ちゃんと…食べろよ?
臣)……わかってるよ。
隆)……


ゆっくり頭を上げると
健ちゃんがニカッと笑った。


健)もうさ、あれちゃう??
  スパーーーッッと忘れて
  次行くとか!!
臣)……
E)それもある意味、手かも…
健)せやろー??
  女なんて星の数ほどおんねんから!
E)うん!!
臣)……


俺はまたテーブルに突っ伏した。


健)お前は人の話聞いとんのか〜いw
臣)聞いてる…よ……
E)臣ぃ…可愛い子もセクシーな子も
  星の数ほどいるって!
健)そうそう!
臣)……


俺の頭には…
あいつしか浮かばない。


臣)あいつは…「星」じゃねぇもん……
健)え…?
臣)……
E)…臣…?
臣)女は…星の数ほどいても…
  …太陽は…一個しかねぇだろ。
E)……
健)……


代わりなんてない。
俺にとっては唯一無二なんだ。


岩)♡ちゃんが…「太陽」ってこと…?
  臣さんにとっての。
臣)……
隆)♡ちゃんじゃなきゃダメなんだよね。
臣)……


俺にとって眩しいくらいの太陽。

いつもキラキラ輝いてて
俺のことも照らしてくれる。

優しく包んでくれたり
あたたかく寄り添ってくれたり

かけがえのない…

たった一人の…

大切な存在。


臣)……


俺は顔を上げて
♡がくれたお守りを見つめた。


「私ね、臣くんのこと本当に大好き。」

「これから先もずっと…
 一緒にいられますように♡」


そう言ってこれを渡してくれた。

あの誕生日の夜を
今でもハッキリ思い出せる。


初めて…
♡からもらった、「愛してる」の言葉。


嬉しくて…愛しくて…
泣きそうになって…

「俺も愛してるよ?」と返せば
♡も泣いた。


あたたかくて…愛しくて…
幸せだったあの時間。


いや…
あの日だけじゃない。

そんな夜を…何度も重ねてきた。


臣)……


もう…戻ってこないのかな…


ああヤバい…

なんか…泣きそう…



ボスッッ


俺は丸めてたパーカーに顔を突っ込んだ。


俺の背中をさする…
多分、隆二の手。

そのせいで…
我慢してた涙が、簡単にこぼれた。


臣)……っ


カタン…


隣に座った隆二が
何も言わずにずっと背中をさすってくれる。


こんな大事な時に…
情けなくて…ほんとごめん。


こんなボロボロで…ほんとごめん。


仕事は…ちゃんとやるから。
ツアー…絶対成功させるから。

こんな相方で…ごめんな。


隆)…一人で…抱えんなよ?
臣)……


俺の心を読んだかのように
隆二がそう言った。


隆)ちゃんと…隣に…いるから…
臣)……


余計…涙出てくるから…
やめろ…ばか……


隆)……
臣)……


この二日間…考えないようにしてた。
リハに集中したかったから。


でも…


『私のことなんて
 もう考えないで下さい。』


そんなの到底無理な話で…


臣)…っ


まだマシなのは
家じゃないこと。

家には♡の気配が多すぎて
辛すぎる。


でも…こんな風に違う場所にいたって
一度思い出してしまえば

こんな簡単に
ボロボロになる。


臣)……っ


会いたい。

♡に会いたい。


臣)……
隆)……
臣)…俺……
隆)……
臣)フラれんのかなぁ……
隆)……


そんな情けない俺の弱音に
「大丈夫だ」とか「そんなことない」とか
そんな安っぽい慰めは言わずに

隆二はただただ
隣にいてくれた。


臣)……
隆)……
臣)はぁ…、…なんか腹減った!!!
隆)…っ
E)臣……
臣)めっちゃ腹減った!!!
健)よし!!飯食えっ!!
臣)食うっ!!!


起き上がった俺の背中を
ポンと叩くと
隆二はタオルを持って出て行った。


健ちゃんとELLYは
あれが美味い、これが美味いとか言いながら
俺が飯を取りに行くのについてきた。


ああ…なんか少しスッキリした…


泣いたって♡が戻ってくるわけじゃない。

俺は…今の俺にできることを
精一杯やろう。


そして…


明日東京に戻ったらもう一度連絡する。

俺の気持ちを…ちゃんと伝える。


絶対に…絶対に…諦めない。
絶対に…絶対に…手放さない。


あいつは俺にとって
唯一無二の「太陽」だから。




ーendー

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