【212】誘惑と本音(岩ちゃんSide)

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女)え〜〜〜!!やだぁっ♡♡
  本当に臣くんいるー!!
女)岩ちゃんもーー!!♡♡


二軒目に移動すると
松浦さんが呼んだ女の子が二人来た。


浦)こいつらお前らのファンでさ。
  会わせろ会わせろって
  しつこいんだよw
女)しつこいとかひどーい!!w
女)やだーー超カッコイイ♡♡
女)隣、失礼しまーす♡
岩)どうもどうもーー
臣)……


臣さんは愛想笑いだけして
グラスに口をつけた。

早く帰りたいだろうな…
さっきから上の空だし。


女)松浦さん、ほんとに臣くんと
  仲良しなんだぁ〜〜♡
浦)おうw
  俺が呼べばみんなすぐ集まるよ。
隆)飛んでいきますねw
女)すごーーい♡♡
岩)……


あの子…完全に臣さん狙いだな。


女)私はぁ、隆二くんファンでぇす♡
隆)どうも…//
女)でも最近は岩ちゃんにも
  キュンキュンしてまぁす♡
岩)ああ、そうw
浦)お前、TAKAHIROが一番なんだろー?
女)あっ、ひどーい!
  なんでバラすんですか〜〜!w
浦)前飲んだ時、
  目がハートになってたじゃんw
岩)……


じゃあTAKAHIROさんが食ってんな、きっと。


女(岩ちゃんの方がカッコイイよ♡)
岩)……


言い訳がましく耳元で囁いてきた。


岩)そりゃどーも。
女)ふふーー♡
女)この人は誰ですかぁ?
谷)あっ、あのっ、谷本といいます!
女)すっごい汗かいてる〜〜
谷)はっ、すみませんっ
浦)谷ちゃんは優秀なんだぞ〜〜?
女)え〜〜あたし臣くんがいいーー♡
臣)……


女の子が臣さんの肩に頭を乗せると
臣さんが立ち上がった。


女)あんっ、いなくなっちゃった。
女)ね、松浦さん、これ頼んでもいーい?
浦)おう、好きなもん食え〜〜
女)わーいっ♡


隆(臣、大丈夫かな…?)
岩(何が?)
隆(最近さ、リハの合間にも…
  ぼーっとしてること多くて…)
岩(まぁ…大丈夫ではないよね…、きっと)
隆(♡ちゃん…どうするつもりなんだろ…)
岩(うん……)


臣さんの様子で
♡ちゃんと仲直りしてないことはわかるから
誰もそれには触れなくなった。


家に帰ってこない上に
知らないバイトを始めてたり…

いろいろ動揺するよな、そりゃ…


女)臣くんが帰ってこないよぉ〜〜


この女は臣くん臣くんうるせぇなーー


岩)……


てゆーか…
酒も入ってるし…臣さん…
まさかこの子お持ち帰りしちゃったり…
しないよな、うん。


なんて心配してたら…


臣さんは戻ってきてからも
ベタベタする女を適当にかわして
たまに携帯を見ては
ため息をついての繰り返し。


女)臣くんってほんとカッコイイなぁ♡
浦)お前は臣くん臣くんうるさいなぁ!w
女)だってぇ〜〜〜


松浦さん…
俺と同じツッコミを…


浦)もう連れて帰ってやれよ。
臣)え…?
浦)どうせ♡も遅いんだろ?
  バレないバレないw
臣)……
女)やーーん♡連れて帰ってーーー♡
臣)いやいやいや…
浦)ほら、金。
臣)えっ…
浦)裏のホテルでも。
臣)……
岩)……


まぁこんなのはいつものことなんだけど…

臣さんは金を受け取って
うるさい女を連れてそのまま消えた。


女)松浦さんずるぅーーい!
  私にもお小遣い〜〜!!
浦)さっきのはお小遣いじゃなくて
  ホテル代〜〜〜
女)じゃあ私にもホテル代〜〜!
  岩ちゃんと行く〜〜♡
浦)…ったく。ほら。
女)やった〜〜〜♡


おいおい…勝手に決めんなよ…


女)ねっ、岩ちゃん♡もう行こっ♡
岩)……


臣さんがちょっと気になるし…


岩)すいません、じゃあお先に。
浦)あいよ〜〜〜〜


完全に出来上がってんな。


隆)岩ちゃんお疲れ〜〜♪
岩)お疲れさまです。


隆二さんも酔っ払ってるけど…
まぁ谷本さんもいるし大丈夫だろ。


女)お金いっぱいもらっちゃったぁ♡
  良い部屋にしようね♡
岩)はいはい。


下に降りると
臣さんがさっきの女を
タクシーに押し込んでるところだった。


女)ちょっと待ってよぉ!
臣)じゃーな。


バタン!!


タクシーはそのまま走り出した。


臣)はぁ…疲れた…

岩)お疲れさん…

臣)岩ちゃん!!


臣さんが驚いて振り返った。


女)あれぇ…臣くん…
  ホテル行かなかったのぉ?


俺の腕にしがみついて千鳥足の女。
俺が手をあげるとタクシーが止まった。


岩)はい、お疲れ。
女)えっ!!!
岩)気をつけて帰んなね。
女)えっ!ホテルはぁ?!
岩)また今度♡
女)え〜〜〜っ!!!
岩)じゃあね。


バタン。


岩)ふぅ……
臣)はぁ……


臣さんがため息をついてしゃがみ込んだ。


臣)なんで岩ちゃんまで追い返してんの…
岩)臣さんにつられたw
臣)なんだよそれ…w
岩)……


俺がビルの裏口に座ると
臣さんも隣に座った。


岩)臣さん…お持ち帰りすんのかと思った。
臣)なんでだよ。
岩)酒入ってるし。
臣)酔ってねぇし。
岩)♡ちゃんと喧嘩してるし。
臣)……
岩)ヤケになって、さ。
臣)んなアホなことするか。
岩)……


そんなアホなことを
昔はしてたはずなのになぁ…


岩)……
臣)……
岩)変なこと…聞いていい?
臣)……なに。
岩)臣さんは…
  なんで他の女とヤんないの?
臣)は…?
岩)♡ちゃんのこと…好きなのはわかるけど
  まぁそんなの…
  関係ないっちゃー関係ないのが
  男じゃん?
臣)……
岩)……


臣さんは膝の上で手の平を合わせて
ゆっくり空を見上げた。


臣)まぁ…バレないように浮気すんのなんて
  簡単だろうけど…
岩)……
臣)俺さ…、
  あいつのことがすげぇ好きで…
  あいつを好きな自分も…好きなの。
岩)……
臣)あいつが好きだって言ってくれる度に
  心が…綺麗になってく気がして…
  すげぇ嬉しくて…
岩)……
臣)こいつに好きだって
  言ってもらえる自分でいたい…って。
岩)……
臣)だから…なんつーか…
  バレるバレないとかじゃなくて…
  自分の気持ちっていうか…
  あいつの前で後ろめたさを感じたくないし
岩)……
臣)あいつがくれる言葉とか…笑顔とか…
  そういうのに相応しい自分でいたいし…
  そうあろうと頑張れてる自分も
  好きなんだよ…
岩)……
臣)なんか…上手く言えねぇけど…
  伝わるかな…
岩)……


酔ってるからなのか…
弱ってるからなのか…

いつもならきっと照れるようなことを
饒舌に語る臣さん。


岩)……
臣)こんな風に思ったの、♡が初めてだよ。
岩)……


そう言って臣さんはまた、遠くを見つめた。


♡ちゃんは…
こんな臣さんの言葉を聞いても
まだ…帰ってきてくれないんだろうか…


聞かせて…やりたいな…


臣)よし、じゃあ帰るか……


臣さんがゆっくり立ち上がった。


臣)岩ちゃん、先乗んなよ。
岩)俺あとでいいよw
臣)…じゃあ乗るよ?
岩)うん。
臣)また明日な。お疲れ。
岩)うん。お疲れさま。


臣さんは力なく笑って
タクシーに乗って帰っていった。


岩)はぁ…俺も帰るか…

女)あ!岩ちゃんだ〜〜!!

岩)えっ


振り向くと笑顔で抱きついてくる女の子。


女)こんなところでどうしたのぉ?
岩)ちょっと飲んでたw
女)あたしも先輩と飲んでたのー♡
岩)そうなんだ。偶然だねーー
  びっくりしたw
女)あたしもびっくりしたぁ♡


にこにこ腕に絡んできたのは
前に一緒に飲んでから
何度かそーゆーことしてるモデルの子。


女)ね、帰るの面倒くさくないー?
岩)えー?w
女)ね…♡
岩)じゃあ泊まってく…?w
女)うん♡


結局ホテルに入る俺。
何してんだろ…w


女)一緒にお風呂入ろっか♡
岩)んーー、あとでいいよ。先にシよ?
女)え〜〜、…あっ…//


ドサッ


女)やっ、…ん、あ…ぁっ//
岩)ん……


この子とすんの…久々かも…


女)ずっと会いたかったから…
  さっき岩ちゃん見つけた時…
  夢かと思った…//
岩)何それ…可愛いな…w
女)だって…//
岩)ん……
女)ぁっ、…ん、ん…っ//


明後日から秋田だし
今日は存分に発散しよーっと♪


女)やぁっ、待って…ぁっ//


秋田行く前に◇に会いたいな…


女)はぁ…っ、ぁっ、岩ちゃん…//


臣さん…喧嘩したまま秋田行くのかな…
それはちょっと可哀想すぎる…


女)やぁ…、はっぁ…ん//


「こんな風に思ったの、♡が初めてだよ。」


岩)……


♡ちゃんのこと…すげぇ好きなのは
伝わったけど…

俺は…そーゆーのは割り切ってる。

こーゆーSEXと「好きな子」は
全くの別物で


女)はぁっ、はぁ…っ//


好きな子を想う気持ちは
何も変わりないし

こんな行為に何の意味もないし


岩)はぁ…、…っ
女)んっ…ぁ…、や…っ//


「あいつの前で後ろめたさを感じたくないし」


後ろめたさなんて…感じない。


女)はぁ…っ、岩ちゃ…ん…//
岩)…っ


だってこんな女に
俺は1ミリも心を動かされない。


ただの一瞬の快楽、それだけ。




ーendー

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