愛してる 〜short story〜

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〇)隆くん、口に付いてるよw
隆)〇〇が上手に食べさせて
  くんないからじゃんw
  俺運転してんだからさ〜〜
〇)あははは♡
 
 
天気の良い春の日。
 
こんな風に彼女と過ごせるのは
いつぶりだろう。
 
 
〇)ね、隆くん、良かったの…?
  せっかくのオフなのに…
隆)せっかくのオフだから
  一番したいことしてんじゃん。
〇)…っ
 
 
俺の言葉に、嬉しそうに頬を染める
彼女の手をそっと握った。
 
 
隆)〇〇は?楽しくないの?
〇)……すっごく楽しい///
 
 
はにかみながら答える、可愛い横顔。
 
 
隆)残り、ちょうだい。
〇)……はい♡
 
 
大きな口を開けて
最後の欠片と一緒に、彼女の指先も口の中へ。
 
 
〇)…っ///
 
 
そのまま舌を絡めてくすぐれば、
真っ赤に染まった小さな耳。
 
可愛いよね、ほんと…。
 
 
隆)やっぱ美味しいね、このクロワッサン。
〇)……うん///
 
 
ああ、「好き」が込み上げる。
 
 
どこに行きたい?って聞いたら
お花が見たいなんて言われて。
 
連れてきた、フラワーガーデン。
 
俺の手を引きながら嬉しそうに走り回る君。
 
 
色とりどりの花の香りで
さっきまで鼻をついていた君の甘い香りは
もう気にならない。
 
 
〇)隆くん…っ
 
 
嬉しそうに俺の名前を呼んで
楽しそうに笑う君のそばに、ずっといたい。
 
そんなことを願いながら
愛しい後ろ姿を見つめていた。
 
 
〇)はぁ、楽しかったね…♡
隆)うんw
 
 
食事も終えて、夜の帰り道。
 
今日という日が終わってしまうことが寂しくて
ついつい、無言になってしまう。
 
 
〇)隆…くん……。
隆)……ん。
 
 
そっと指を絡ませて、繋いだ手と手。
 
それだけで伝わってくる、互いの気持ち。
 
 
帰したくない。
離れたくない。
 
いくらそう思っても、終わりはやってくる。
 
 
隆)着いたよ…。
〇)うん…。
 
 
彼女のマンションの前。
 
手を離したくない二人。
 
エンジンを切って、彼女を見つめた。
 
 
〇)……今日、楽しかった…。
隆)…うん、俺も。
 
 
彼女の親指が、俺の手の甲を滑る。
 
 
〇)…大好き…、隆くん…。
隆)俺も…好き。
 
 
俺も親指で、彼女の手の甲を撫でる。
 
 
〇)……
隆)……
 
 
手を繋いでるだけなのに、こんなに切ない。
 
一線は越えられないって、わかってるから。
 
 
〇)おやすみ…なさい。
隆)おやすみ。
 
 
せめてキスでも、出来たらいいのに。
 
 
でもそんなことをしたら
互いに止まらなくなるのは、わかってる。
 
だから今日も俺たちは
手を繋いだだけ。
 
 
助手席を降りた彼女が
運転席へ回ってきて。
 
窓に手を置いて、「好き」と口を動かす。
 
俺は敢えて窓を開けずに
中からガラス越しに手を重ねる。
 
 
デートの終わりは、いつもそう。
 
 
寂しそうに笑う彼女の後ろ姿を見送って…
 
マンションの彼女の部屋の明かりが灯るのを
車の中から見届けるんだ。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
健)うあ〜〜〜〜
  めちゃくちゃ眠いわ〜〜〜
N)なんでだよw
  お前昨日オフだったろ。
健)朝から釣り行ってきて〜〜
  ほとんど寝てないんすよ。
N)出たぁ〜〜〜〜ww
岩)隆二さんも昨日オフだったよね?
  何してたの?
隆)んー?……ドライブ。
岩)へ〜〜いいなぁ。
 
 
バタン!
 
 
E)おはよーーー!
直)おはよ、朝から元気だねw
岩)ELLYはいつも元気ですよw
臣)はよーーっす。
健)あ、臣ちゃんおかえり!
臣)ただいまーー
  はい、お土産〜〜早い者勝ちね。
 
 
テーブルの上に広げられたのは
LAのお菓子。
 
 
岩)そっか、また飛んでたんだ臣さん。
臣)おう。
  今日の朝帰ってきてそのまま来たわ。
岩)ハードだねぇw
N)お前ってさ毎回律儀に
  お土産買ってきてくれるよねw
臣)え。
N)俺も明後日からNYだけど
  もうメンバーには買ってこなくていい?
  荷物になるし。
隆)えーーー!
  ひどい!冷たいリーダー!
健)薄情っすね!w
 
 
最近はみんな海外での仕事も増えてるから
こうして7人が揃うのは久々。
 
 
E)やっぱみんな揃うと楽しいね!
隆)うん。
 
 
コンコン。
 
 
N)はーいーー
女)すみません、失礼します。
 
 
入ってきたのは某アイドルグループの女の子。
 
 
女)あの…今市さん…いいですか?///
隆)……はい。
 
 
呼び出されて廊下に出た。
 
 
女)あの、これ…///
 
 
差し出されたのは、
連絡先が書かれていそうな可愛いメモ用紙。
 
 
女)大好きなんです…。
  もし良かったら…///
隆)ごめんね、俺…好きな人がいるから。
女)…っ
隆)受け取れない、ごめんね。
 
 
はっきり断ると、
彼女はほんのり涙を浮かべて
ありがとうございましたと去っていった。
 
 
N)ヒュゥ〜〜〜〜モテ男〜w
健)やるぅ〜〜〜w
 
 
楽屋のドアから覗いてたみんなが
冷やかしてくる。
 
 
臣)お前っていっつもそう言って断るよねw
岩)彼女いないくせに〜嘘つき〜〜w
健)罪な男やな。
N)うんうん。
隆)……
 
 
嘘じゃない。
 
いるよ…?
好きな人。
 
 
直)明日の資料もらったよーー
E)うお、めっちゃ朝早いw
 
 
配られた資料に目を通す。
 
今日は歌番組の生放送で
明日は朝から7人でCM撮影。
 
 
岩)ありがたい忙しさですねw
直)そうだね。
N)隆二と臣!寝坊すんなよ!
臣)しませんよー
N)お前らほんと常習犯だからな。
隆)ちゃんと起きまーす。
 
 
なんて返事したくせに、翌朝。
 
 
時間ギリギリに飛び起きて
大慌てで用意して、迎えの車に乗り込んだ。
 
 
N)ほら、言わんこっちゃない。
隆)間に合ったじゃないですか!w
岩)寝癖大爆発だけどねw
直)いやいや、岩ちゃんは人の寝癖のこと
  言えないからw
岩)え〜〜〜w
 
 
そんなこんなで
次に着いたのは臣のマンション。
 
 
男)電話出ねぇw
N)えーーーー
  ぜってぇ寝てんじゃん!
岩)今日の遅刻は臣さんだったか。
直)臣の部屋どこだっけ?
 
 
スタイリッシュなアイスブルーのマンション。
 
 
隆)3階の一番端ですよ。
直)こっからペットボトル投げてみる?
隆)ええっ!
 
 
たまにとんでもないこと言い出す直己さん。
 
 
N)届かないっしょ!w
岩)いや、届きそう。
隆)外して2階に入ったら大迷惑ですよw
岩)あはははw
 
 
なんて話してたら、
キャップを被った臣が降りてきた。
 
 
臣)はよーーっす…。
N)おせーよ!すっげぇおせーよ!
臣)すんません…。
 
 
少しふてくされたように車に乗り込んだ臣は
「だってあいつ起こしてくんねぇんだもん」
と、小さくぼやいた。
 
 
N)いい大人が彼女に甘えるんじゃない!
臣)だってーー
岩)いるのに起こしてくんなかったの?
臣)ううん、先に仕事行っちゃってた。
 
 
次に着いたのは健ちゃんの家。
モカブラウンのマンション。
 
 
直)健二郎の部屋、どこだっけ?
隆)2階の右から二つ目です。
 
 
って答えて、はっとした。
 
 
隆)2階だからって投げちゃダメですよ!w
直)え…。
 
 
やっぱりチャレンジしようとしてた、この人!
 
 
N)健二郎は寝坊しないでしょ。
  ほら、ちゃんと来た。
 
健)おはよーございまーす!
 
臣)朝からうざい明るさ…
健)なんやとコラ!w
臣)よく起きれたね、こんな早いのに…
健)あいつが起こしてくれたから。
岩)どうやって?
健)へ?
岩)チューとかして?w
健)////
臣)うっざ。健ちゃんうっざ。
健)なんでやねん!w
 
 
顔だけでのろける健ちゃんに
みんなでツッコミを入れて。
 
最後のELLYを拾って、現場に向かった。
 
 
 
……
 
 
 

 
 
 
女)では、よろしくお願いいたします。
隆)はい。
 
 
CM撮影の合間に、雑誌のインタビュー。
 
 
女)これからの季節、
  皆さんはどのような夏のファッションが
  お好きですか?
E)ショートパンツ。
直)ワンピース。
健)俺は似合ってたらなんでもええかなぁ〜
  キャラソックス履いてへんかったら。
N)しつこ!!w
 
 
どんな女性がタイプですか、とか
デートに行くならどこですか、とか
恋愛絡みの質問がいくつか続いて。
 
 
女)では最後に。
  皆さん、「好き」と「愛してる」
  どっち派ですか?
 
 
そんな質問が来た。
 
 
岩)うーん、たまに「愛してる」って言う。
臣)俺は毎回「愛してる」。
  「愛してる」しか言わない。
健)俺は「愛してる」は言われへんなぁ〜
  「好きやで」とかそんなん。
  日本人が「愛してる」って使うん
  なんかこそばゆくて。
隆)ちょっとわかる。
  俺も「好き」派。
健)彼女も「好き」しか言わへんし。
臣)俺もーーー
  俺は愛してるって言うのにさ、
  あいつは恥ずかしがって言ってくんない。
健)ほーら。日本人には合わへんねん。
隆)……
 
 
ああ、なんだか身体がだるいな。
少し熱っぽいかも。
 
今日は少し早めに休もう。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
それから数日、
あまり体調が優れない日が続いて。
 
 
N)おい、お前めっちゃ顔色悪いぞ。
隆)…っ
 
 
メンバー会議の後、
NAOTOさんに肩を掴まれた。
 
 
朝計った時は熱はなかった。
でもなんだか頭が痛い。
 
 
隆)大丈夫です。
 
 
そう言ったけど、クラクラする。
 
 
岩)健二郎さんなんだかご機嫌だね。
健)今日も釣り行くねん〜〜♪
直)ほんと好きだねぇw
健)今日は初めて彼女も連れて行くんすよ。
岩)へぇ!
E)臣もなんかご機嫌じゃん。
臣)俺も今日は彼女とデート♡
岩)ニヤけちゃってぇ〜〜
臣)へへへw
 
 
みんなの楽しそうな声を聞きながら
テーブルに突っ伏した。
 
 
健)隆二、大丈夫か?
隆)……
健)一緒に釣り行くか?
隆)……行くわけないじゃん。
 
 
なんでデートの邪魔しなきゃ
なんないんだよ。
 
 
健)このクロワッサン、食うか?
隆)いらない。
 
 
腹なんて減ってない。
 
 
臣)隆二、大丈夫?
  明日レコーディングだけど。
 
 
んなことわかってんだよ。
 
 
隆)大丈夫だから。
臣)ならいいけど…。
 
 
早く出ていけよ。
お前のホワイトムスクの香りが
鼻につく。
 
余計頭が痛くなりそうだ。
 
 
N)隆二、ほんとに…
隆)大丈夫ですから!
  一人にしてください!
 
 
………最低だ。
 
みんな俺を心配してくれてるって
わかってるのに…
 
頭が痛くて、イライラして。
 
 
マネージャーに頭痛薬だけもらって
家に帰ってきた。
 
ベッドで一人、天井を見上げて
思い浮かべるのは〇〇の笑顔。
 
 
……会いたい。
 
ただ、会いたい。
 
 
切ない想いが涙になって溢れてきた。
 
 
隆)…っ
 
 
こんなに…好きなのに…。
 
 
 
……
 
 
 

 
 
 
夢を見た。
 
運転してる俺の隣で
〇〇が楽しそうに何か口ずさんでる。
 
俺たちはしっかりと手を繋いでいて。
 
 
ああ…いつかのデートの日だろうか。
 
あの日に戻りたい。
 
 
いや、あの日じゃなくたっていい。
 
〇〇と一緒にいられる時なら
過去だろうが未来だろうが…
そこへ飛んでいきたいんだ。
 
 
隆)〇〇……。
 
 
愛しい名前を呟いて目が覚めたのは
明け方の4時だった。
 
 
今頃、何をしてるだろう。
 
 
会いたい。
でも会えるわけがない。
 
声が聞きたい。
でも電話なんて出来るわけがない。
 
 
ダメだってわかってる。
でも…
 
寝ぼけて電話を手に取ってくれたら
たった一言、それでいいから。
 
君の声が聞きたいんだ。
 
 
冷静になれば
そんな行動、絶対に取らなかったのに
俺は携帯を掴んで
〇〇にコールを鳴らした。
 
 
一向に出る気配がない、電話の向こう。
 
 
諦めて切ろうとした7回目のコールの後で…
 
 
「もしもし…」
 
 
とても小さな掠れた声が、俺の耳に届いた。
 
 
愛しい愛しい、君の声。
 
 
隆)…っ
 
 
俺は一気にいろいろ込み上げてきて、
もう我慢できなかった。
 
 
隆)会い…たい……、っ
 
 
口にしてから、後悔した。
 
なかったことにしたくて
「ごめん」と謝って、すぐに電話を切った。
 
 
……なのに。
 
 
 
……
 
 

 
 
 
〇)隆くん…っ!
 
 
彼女は会いに来てくれた。
 
こんな時間に、俺のところに。
 
 
隆)どう…して…
〇)隆くんが…泣いてる気がしたから…
隆)…っ
 
 
どうやって来たんだろう。
どういうつもりなんだろう。
 
 
そんなことは、どうでも良かった。
 
 
今目の前に、〇〇がいる。
 
もう、それだけで良かった。
 
 
隆)好きだよ、〇〇…っ
〇)…っ
隆)好きだ。好きだ。好きだ。
〇)隆…くん…っ
 
 
………もう、限界。
 
 
手を繋ぐだけじゃ抑えきれない想いが
ここにある。
 
 
今までずっとずっと、我慢してきたのに…
 
抱きしめ合ったら
すべての糸が切れたように、
 
夢中だった。
 
 
口付けて、触れ合って、口付けて。
 
 
交わる呼吸。
 
絡み合う熱。
 
 
隆)〇〇…っ
〇)隆くん…!
 
 
唇を離すのも惜しいくらいの
深いキスの狭間で
必死に互いの名を呼んで。
 
 
隆)好きだ。好きだよ、〇〇。
〇)私も…、好き、…っ
 
 
あっという間に何も纏わぬ姿で
シーツの上で絡まる二つの身体。
 
 
〇)ずっとずっと…好きだった…っ
隆)…っ
〇)ずっとずっと、こうしてほしかった。
隆)…っ
 
 
ああ、狂おしいほどに、切ない。
 
 
どれだけ夢に見ただろう。
 
君の肌を、熱を、柔らかさを。
 
 
ずっとずっと、こうしたかった。
 
 
隆)愛してる。
〇)…っ
隆)愛してるよ。
〇)隆くん…っ
 
 
数日前に言ったセリフ。
 
 
「俺も「好き」派。」
 
 
違ったよ、健ちゃん。
わかったんだ。
 
人は、本当に愛してると
「愛してる」って
勝手に出てくるんだよ…。
 
 
照れくさいとか自分らしくないとか
そんな何もかもを飛び越えて
本能で口からこぼれるんだ。
 
「愛してる」って。
 
 
隆)はぁ、…っ、〇〇…っ
〇)隆く…っ、んんっ…
 
 
もう止まらない俺たちは
何度も何度も抱きしめ合って…
 
 
罪を分かち合うように
甘くて深い、闇の底へと…
 
何度も一緒に、堕ちていった。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
直)隆二、なんか最近顔色いいよね。
隆)そうですか?
臣)俺も思ってた。
  歌もすげぇ調子いいし。
隆)うん。
N)なんだよーー
  お前まで彼女できたのかー?
隆)いえ。
 
 
彼女はいません。
 
ただ、どうしようもないくらいに
愛してる人がいます。
 
 
E)健二郎さんは顔色悪いね。
健)彼女と喧嘩して寝不足やねん。
N)えーー!なんでなんで?
健)NAOTOさん…なんでそんな
  楽しそうなんすか。
N)ほら、よく言うじゃん。
  人の不幸はなんとか、ってw
健)……嫌い。
N)嫌われた〜〜〜!!w
 
 
今日も賑やかな俺たちの楽屋。
 
収録を2本済ませて、弁当を食って着替えて。
 
携帯を開けば、思わず頬が緩む。
 
 
健)あ〜〜〜しばらく釣り行けへんなぁ…
N)ん?なんで?
健)来週から稽古で1週間缶詰ですわ。
E)えー!大変っすね!
N)俺も来週はNYとパリよ。
岩)すげぇ!世界を股にかける男!w
臣)あ、俺も俺も!w
  1週間LAでMV撮りとレコーディング!
直)俺はオーストラリア。
E)すげぇ!みんな日本にいない!w
 
 
俺はみんなほど仕事はない。
歌一本でやってるから。
 
だから今月も国内の仕事のみ。
 
 
 
……
 
 

 
 
 
〇)隆くん、お帰りなさい♡
隆)ただいま。
 
 
エプロン姿で出迎えてくれる姿に
思わず笑顔がこぼれる。
 
 
〇)ご飯、もうすぐでき…っ、んんっ///
 
 
後ろから抱きしめて、
エプロンをほどいて。
 
 
〇)待って…///
隆)ダメ。
 
 
一緒にいられる一週間。
 
その一秒一秒も惜しいというように
俺は彼女を求めた。
 
 
〇)隆くん…、っ///
 
 
何度求めても、彼女は応えてくれた。
 
 
……いや、
彼女も俺を求めてたんだ。
 
何度も、何度も。
 
 
 
……
 
 
 

 
 
 
隆)大丈夫…?
〇)……ん、
 
 
少し眠たそうにしながら
俺にすり寄ってきた彼女。
 
 
〇)……離れたく…ない…。
隆)……ん。
 
 
俺もだよ。
 
 
〇)隆くん…大好き…
隆)……
〇)……抱いて…。
 
 
甘えてくる彼女の身体からは
俺の大好きなプールオムの香り。
 
 
隆)ん、おいで…。
 
 
何度こうして抱き合っただろう。
 
肌を重ねただろう。
 
 
ずっとこのまま二人でいられたら…
何度そう願って、眠りについたろう。
 
 
………最後の夜が、やってくる。
 
 
隆)……ほんとに帰るの?
〇)……(こくん)
 
 
6日目の夜。
わかっていたのに、離れがたくて。
 
 
隆)明日の朝、帰ればいいのに。
 
 
そしたら今夜も一緒にいられる。
 
 
隆)朝、送っていくから。
〇)……ううん。
 
 
彼女が断るのはわかっていた。
 
 
〇)今日、帰るよ……。
隆)……
 
 
帰さない、
そう言えばいいんだろうか。
 
俺のものになれよ、
そう言えばいいんだろうか。
 
 
暗い夜道を走る車の中で
俺たちはいつものように手を繋いで。
 
刻一刻と近付く別れの時間が、
切なさに拍車をかける。
 
 
「好きだ」も「愛してる」も
もう何度も伝えた。
 
数え切れないくらい。
 
 
彼女の身体は俺の香りに染まって
一つに溶け合ってしまいそうなくらい
深く、繋がったのに…。
 
 
〇)……ありがとう。
 
 
彼女のマンションの前。
 
 
今までで一番、離れがたい。
 
 
それは、俺たちが互いのぬくもりを
こんなにも知ってしまったから。
 
ずっと一線を超えないようにしてきたのに
その禁忌を、破ってしまったから。
 
 
〇)……
隆)……
 
 
絡めた視線で、想いを伝え合う。
 
 
「寂しい」「離れたくない」
そんなのは口に出さなくても
お互いわかっていて、
お互い、同じ気持ちで。
 
 
指先と指先が離れて…
胸が締め付けられるように、目を閉じた。
 
 
助手席を降りた彼女は
いつものように運転席へ回ってきて。
 
 
ガラス越しに重ね合わせた、手のひら。
 
でもその唇は、いつもと違う形に動いた。
 
 
「愛してる」と。
 
 
隆)……っ
 
 
彼女の唇がそう動いたのを
初めて目にした俺は…
 
もう片方の手を、グッと…握りしめて。
 
 
いつものように、
マンションに入っていく彼女の後ろ姿を
静かに見送った後で
 
涙が一筋、頬を伝った。
 
 
彼女は今から俺の香りを消して
明日、おかえりと出迎えるんだろう。
 
ホワイトムスクの、甘い香りを。
 
 
「俺は愛してるって言うのにさ、
 あいつは恥ずかしがって言ってくんない。」
 
 
隆)……
 
 
アイスブルーのマンション…
3階の一番端。
 
いつもと同じように
そこに明かりが灯ったのを見届けてから
俺はそっと静かに、キーを回した。
 
 
 
 
 
 
ーendー

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コメント

  1. ヒロマロン より:

    切なすぎますーーーーー(;O;)
    最後の最後まで気付かなくて、『アイスブルーのマンション』て文字を見て、ヤバすぎて震えました‼

    すっごくすっごくステキなストーリーで大好きです♡

    これからも楽しみにしてます(*˘︶˘*).。.:*♡

    • マイコ より:

      ふふふふ(ฅ¯ω¯ฅ )狙い通りでごわす。ありがとうございますw

  2. いちごみるく より:

    よくよく考えると隆二くん切なすぎて泣けてきます…

    こういうお話も味わいたくてshort storyをリクエストさせて頂きました!

    答えてくださりありがとうございます!
    ブログもTwitterも毎日見てます!
    これからもみんなのイチャラブなお話待ってます

  3. いちごみるく より:

    あ〜!気付いてしまったっ!
    ホワイトムスク!アイスブルーのマンション!3階の一番端!
    臣の彼女なの〜〜〜っ!?!?

    そうなると1週間LAって言ってたのも辻褄があう!
    女の子浮気ってことーー?

  4. honndamomomaruo より:

    shortstory楽しみにしてましたー やっぱり、マイコさんのstoryはステキです✨✨切ないstoryでは、とことん泣かされます        

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